数十年後、そこには数多の老朽化したウェブが。

 最近、昔作ったウェブサイトを久方ぶりに更新していて、今時のウェブとの違いに驚かされている。

 横幅800pxで作らざるを得なかったために、今見るととても小さく見える。相互リンクによる横のつながりはめずらしくなり、SNSの友達やフォロー関係がそれに取って代わった。PC専用サイトであるにも関わらず、スマートフォンからのアクセスは4割近い。

 結局、コンテンツとしての役割を考えると、新しい環境に対応しなければならないという結論に至った。

 

 今後も新しい端末の登場が予想される中で、それらに対応できないウェブサイトはどんどん老朽化していくんだろうか。メジャーなサイトはともかく、非営利の個人サイトでそういった流行に追従し続けるのは、なかなかつらいものがある。

 物理的なメディアであれば、物理的な方法で保存することができた。でもウェブは、データと、サーバと、閲覧端末がセットになってはじめてメディアとなる。端末が変わるとまったく機能しなくなることもある。

 スマートフォンでウェブ漫画やウェブ小説を読むのはつらいし、ゲームであればなおさらだ。

 それを保存するためには、一体どうしたらいいんだろうか?

 

 最近読んだSF小説に、インターネットが新技術に置き換わるという設定のものがあった。それは非現実的な話だと感じたが、表向きは互換性を維持しながら、裏で次々とマイナーなウェブサイトへの対応を削っていき、最終的に新しいウェブに置き換えることは可能だ。

 例えば今、Retinaの登場でピクセルという単位の意味が変わりつつある。これが十分に普及し、cmや%でページを設計することが一般的になったある日、ある人が「互換性を捨てて、pxとデバイスピクセルを一致させよう」と言い出すかもしれない。

 

 ああ、でも、そうか。その頃には著作権が切れて、誰でも移植作業が行える状態になる。その時までに新しいウェブに対応できなかったコンテンツには、さすがになんの価値もないと言えるのか。